重炭酸イオンは生体内にある炭酸脱水酵素で水素イオンと結合して二酸化炭素と水になるので水素イオン濃度に影響します。この炭酸脱水酵素の反応は可逆的で二酸化炭素の濃度が高いと水素イオンと重炭酸イオンになるので体に二酸化炭素が溜まると水素イオンが増え体液は酸性になります(図2)。

それならば水素イオンが溜まった状態でこの重炭酸イオンを補給すれば水素イオンを二酸化炭素と水に換えて、肺や腎臓から排出できるのではないと考えるのは如何でしょうか。

この重炭酸イオンは重炭酸ナトリウム、いわゆる重曹(パンのふくらまし粉)として体内に取り入れることは可能です。血液が病的に酸性になった状態をアシドーシスといいますが、その場合に治療として重曹を点滴することがあります。経口摂取も可能でサプリメントとして販売されています。ただし、とても不味くたくさんは飲めません。それに腸内に二酸化炭素ガスがたまり腹痛や下痢を起こすことがあります。

この重炭酸イオンを含有するものとしては酢酸や乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、ピルビン酸などのいわゆる有機酸です。黒酢、梅干し、ヨーグルト、レモン、など様々な食物に入っています。これらの食べ物は古くから体に良いといわれていますが、不思議なことにどの本を読んでもどういう機序で体によい影響を及ぼしているのかは書いてありません。

我々の考えからはこれらの有機酸に含まれる重炭酸イオンが体液中に溜まった水素イオンと結合して体の外に排出してくれることにより、酸性体液がアルカリ体液に変わり、様々な病的悪循環を改善してくれるからであると説明できます。

ではこれらの有機酸を含む食物やサプリメントを摂れば体質がアルカリ化して体によいということになります。ところがここにも大きな問題があります。体質を変えるほどの有機酸を摂ろうとするとかなりの大量になります。比較的飲み易いクエン酸でもアルカリ体質になるには一日20g近く摂らなければなりません。長野県の諏訪地方ではクエン酸健康会という団体があり毎日の食事に大量のクエン酸を混ぜているそうです。でも会員の皆さんは病気知らずで、元気な人たちばかりだそうです。ちなみに長野県は病院にかかる人が少なく健康長寿県の代表ですが、その大きな要因は野菜や、りんごなどの果物をたくさん食べることがあげられています(79)。

ほかに黒酢(実は酢ではなくクエン酸が主体)、梅干、ヨーグルトもいいのですが大量に取るのはなかなかできません。クエン酸のカプセルもありますがやはり大量となると難しいですね。

とういことで、サプリメントの道も容易ではありませんが、飢餓療法や運動療法よりは継続し易いかもしれません。